“譜面にない”グルーヴを体得せよ。Carol Kayeのベースラインに挑戦し、音楽の本質に迫る。




Carol Kaye、(1935年3月24日 – )は、アメリカ合衆国の女性ベーシスト、ギタリスト、スタジオ・ミュージシャン、教育者。2020年、ローリング・ストーン誌が選んだ「史上最高のベーシスト50選」で第5位。
1960〜1970年代には、ロサンゼルスのセッション・ミュージシャンとして、「1万曲以上のレコーディングに参加」といわれている。その代表曲やサポートしたミュージシャンはスプリームス、フォー・トップス、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル、テンプテーションズらの一部の曲でプレイしたことが証明されており、他にポップスのサイモン&ガーファンクル、フランク・シナトラ、バーブラ・ストライサンド、モンキーズ、他。数えきれないほど多くあります。詳しくはウィキペディアでご覧ください(Carol Kayeついて)
また、キャロルケイは演奏者としてだけでなく、教育者としても多大な貢献をしています。1969年に、世界初のエレクトリックベース教則本『How To Play The Electric Bass』を上梓。この書名がきっかけとなり、それまでアメリカで“フェンダーベース”といわれていたベースギターの呼称が“エレクトリックベース”に変わった。以後、『Electric Bass Lines』シリーズなどを刊行、累計発行部数は公称50万部以上に昇り、スティング、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジャコ・パストリアス、ネイザン・イースト、クリスチャン・マクブライド、ジーン・シモンズらが手にしたという。
Carol Kayeをカバーするメリット
Carol Kayeの楽曲に挑戦することは、単に技術を磨くだけではありません。彼女の音楽に触れることで、参加者は自分の表現力や創造性を広げることができます。Kayeの洗練されたベースラインを習得することで、リズム感や音楽的な洞察力が向上し、様々な音楽スタイルへの対応力も身につきます。彼女の音楽を通じて、新しい視点を得ることができるでしょう
なぜ、キャロルケイなのか?
今回のプロジェクトでは、課題曲のベーシストにCarol Kayeを選出しました。その理由は、単なる知名度ではなく、参加者の創造性と個性を引き出すことに重きを置いているからです。
有名なベーシストのフレーズはすでに多くの人にコピーされ、練習素材として広く親しまれています。しかしそれゆえに、模倣が容易になり、自分自身のスタイルを築くうえでの「挑戦の余白」が失われがちです。
一方、Carol Kayeは、数え切れないほどの名曲に貢献しながらも、長らく脚光を浴びることのなかった実力派。彼女のベースラインは模倣され尽くしておらず、演奏者にとっては新鮮な発見と創造の余地に満ちています。
このプロジェクトでは、すべての参加者が同じスタートラインに立ち、音楽の本質に向き合うことで、自らの個性と技術を磨いていくことを目指しています。キャロル・ケイの楽曲は、その理念にもっともふさわしい“舞台”なのです。
Boogalooの魅力と難しさ
この曲は一見シンプルに聴こえるリズムですが、実は“間”や“ノリ”といった、譜面に表れない要素が鍵を握るスタイルです。少しでもタイム感が揺らぐと、グルーヴが崩れてしまう──だからこそ、正確さよりも“フィール”が試されます。
Carol Kayeの演奏には、微細な揺れと自然な推進力が共存しており、まるで楽曲そのものが、「踊って」いるかのようです。
コピーするだけでは決して届かない。でもだからこそ、自分なりの“グルーヴ”を見つける大きなチャンスでもあります。挑戦の先にある、自分だけの音。それを、このスタイルで見つけてください。
Boogalooを“グルーヴさせる”ために
このスタイルを本物のグルーヴとして成立させるには、単なるリズムの再現以上の要素が求められます。特に重要なのは、16分音符の裏拍を正確に感じ取るリズム感、そして**意図的に入れる“間”や“抜き”**のコントロールです。
Carol Kayeのように自然な推進力を生み出すには、**ゴーストノート(音としては聴こえにくいが、リズムに深みを与える弱いノート)**の使い方も鍵になります。これにより、シンプルなフレーズにも躍動感が加わり、演奏全体に“ノれる”空気が生まれます。
譜面通りに正確に弾くことと、“体で感じて鳴らす”ことは違います。Boogalooは、その違いを肌で学べる、まさに実践型の教材です。
コメントを残す