グルーヴは理論じゃない/ブーガルーから学ぶ身体とリズムの一致点

【ブーガルーのリズムに挑戦し、グルーヴの本質を探る】演奏者としての表現力とリズム感を磨く絶好の機会です。

課題曲:「Boogaloo」 募集パート:ギター/ベース

【楽曲解説】

1960年代後半、ファンクやリズム&ブルースの流れの中で生まれた「ブーガルー」というリズムスタイル。

その名を冠したこのナンバー “Boogaloo” は、インストゥルメンタルの名曲として、今でも技術的なトレーニング曲として価値が高く、実力派ミュージシャンの間で演奏され続けています。

この曲では、流れるように組まれたベースラインが全体を牽引し、タイトなリズムの中でノリとニュアンスのコントロールが極めて重要になります。

しっかりと音を刻みながらも、ただ譜面をなぞるだけでは成立しない「グルーヴの説得力」が試される楽曲です。

ギターもまた、派手なソロではなくリズムの一部として存在し、アンサンブルの中でどれだけ“息づく演奏”ができるかが問われます。

今回の課題曲に選んだのは、まさにその演奏の芯が浮き彫りになる一曲だからです。“どれだけ正確に、そしてどれだけ自然体でノれるか”――この問いに真正面から向き合える、絶好のトレーニングになるでしょう。

それぞれの楽器で役割を担いながら、一緒にこの “Boogaloo” というグルーヴを完成させてください。

【ベーシストへ】この課題曲におけるベースの魅力と奥深さ

この曲でベースを担当しているのは、Carol Kaye。滑らかでありながら芯のあるラインが印象的で、“Slick Cat”ではリズムを支えるだけでなく、アンサンブル全体の空気感を決定づける“語り手”のような存在になっています。

テンポはミディアムながら、その中に微妙な抑揚や表現の抑制が詰まっており、どこまでシンプルに深みを出せるかが、この曲の本質的な難しさです。

また、ドラマー(Paul Humphrey)との呼吸感も極めて重要です。フレーズの「後ろノリ」や「わずかな前ノリ」など、繊細なタイミングの中で、彼のプレイをどう受け止め、どう共鳴させていくか。そうした意識が、この曲を“音楽”として成立させる鍵になります。

Carol Kaye の演奏をなぞるだけで満足せず、彼女が“どんな意図でその音を置いているのか”を感じ取りながら、ぜひ自分自身の演奏に活かしてください。

【ギタリストへ】この課題曲におけるギターの魅力と奥深さ

この課題曲 “Boogaloo” においてギターを担当しているのは、名手 「Joe Pass」。曲の冒頭から中盤にかけて展開される、一見シンプルなコードカッティングの中に、彼ならではのグルーヴと「間」が凝縮されています。

タイム感は落ち着いており、全体としてはクールに聴こえますが、その内側には絶妙な緩急とフレーズの揺れが潜んでおり、それによって楽曲が“静かにうねるように”動き出していくのです。

一見すると真似しやすいプレイに思えるかもしれませんが、実際に弾いてみると、「どこで止めるか」「どこで跳ねるか」「どこまで力を抜くか」といった、繊細なバランス感覚が求められることにすぐ気づくでしょう。

また、ドラムスやベースとどう呼吸を合わせるか――
つまり“アンサンブルの中でどう存在するか”という視点が問われる、まさに実践的な教材です。

Joe Pass の演奏は、派手なソロや速弾きではなく、“音楽そのもの”にどう向き合うかを突きつけてきます。この課題曲を通して、自分の音楽感覚を研ぎ澄ませてみてください。

ラインをなぞるだけで終わらず、自分自身の“歌い方”を見つけられたとき、ギターという楽器がもっと自由になるはずです。

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