「DUA LIPA」カバー第1弾!/内なる感情を解き放て

課題曲:「Be The One」募集パート:ボーカル

Dua Lipa "Be the one" live @ Inas Nacht 17.7.2016

「Be the One」のボーカルには、Dua Lipa ならではの“落ち着いた存在感”があります。声を張り上げることなく、淡々としたトーンを保ちながらも、曲全体を通して説得力のある情感が流れています。

特に印象的なのは、Aメロ(ヴァース)での“語りかけるような距離感”。リズムに対してわずかにゆとりを持たせ、急がず、押し出さず、空間を含んだまま声を届けることで、曲全体に柔らかく揺れるようなグルーヴが生まれています。

それに対し、サビではややテンポ感が前に寄り、音の運びにも少し張りが出てきます。この緩急の差が、曲の構成に自然な抑揚を与えているように感じられます。

Dua Lipa のリズムの取り方は、常に一定ではなく、行の終わりや母音の処理にごくわずかな「遊び」を入れているようにも聴こえます。全体としては、ビートを正確になぞるというよりも、フレーズ単位でタイミングのニュアンスを調整している印象があります。

声の出し方については、息を多めに含んだソフトなトーンを基調にしながらも、芯の位置はしっかりと保たれており、ミドルレンジを軸とした安定した響きが感じられます。

また、語尾を息でやわらかく抜く箇所も多く、言葉を置いていくというより、流すように紡いでいる点も特徴です。

全体として、この曲のボーカルには「抑制の中にある力」が通底しています。決して感情を表に出しすぎることなく、余白を残したまま、聴き手の想像力を引き出すような歌い方。それこそが、この楽曲の魅力を支えている表現の中核です。

【楽曲解説】

2015年10月30日にリリースされた「Be the One」は、Dua Lipa のセルフタイトルのデビューアルバム『Dua Lipa』(2017年)に収録されたセカンドシングルです。当時、彼女はまだ19歳。若くして放たれたこの1曲が、世界中のリスナーの耳と心を一気に惹きつけました。

ドイツのラジオ局で取り上げられたことをきっかけに注目を集め、ヨーロッパやオーストラリアを中心に商業的な成功を収めました。チャート順位は以下の通りです:

  • ベルギー(フランデレン地域)1位
  • ポーランド 1位
  • スロベニア 2位
  • オーストリア 7位
  • ドイツ/オランダ 11位
  • イギリス 9位
  • オーストラリア 6位
  • ニュージーランド 20位

さらに、イギリス・オーストラリア・イタリアではダブル・プラチナ、ドイツではプラチナ、ニュージーランドではトリプル・プラチナ認定を受けています。

この曲は、Dua Lipa のキャリアにおける初の大ヒットとなり、国際的な人気を確立する契機となった作品です。

【アーティスト紹介:Dua Lipa】

Dua Lipa はイギリス出身のシンガーソングライターで、14歳の頃から YouTube に自身の歌唱動画を投稿し始めました。

Alicia Keys の「No One」、The Beatles の「Golden Slumbers」、Etta James の「I’d Rather Go Blind」など、ジャンルを超えた名曲のカバーを通じて、その歌唱力と表現の深さで注目を集めました。

特に、スタンダードナンバーを“子どもらしく”ではなく、きちんと意味をもって歌いこなしていた点に、早くから非凡なセンスが見て取れます。だからこそ、Dua Lipa の歌は、世代や性別を越えて、多くの人の心にまっすぐ届いているのでしょう。

Dua Lipa の音楽は、ポップス、R&B、エレクトロニックを融合した独自のスタイルを持ち、その個性と安定した技術で世界的な評価を獲得。若くして“本物”と認められたアーティストとして、今なお世代を超えて広く支持を集めています。

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